たずねびと

「たずねびと」(光村5年)

 実践を振り返って、どうすれば子どもたち自身の力で読み深めていけるのかについて協議しました。

<授業者から>
・子どもたちは、軸「原爆の恐ろしさを忘れない」「二度とこんなことをしてはいけない」で捉えて取り組んだ。子どもの振り返りでは・・・「もう二度と原爆を落としてはいけない」「爆弾を使ってはいけない」「世界がみんな仲良くなったらいいな」「原爆を作ったアインシュタインは謝ったけど、使った人が悪いのに謝って心が広いなと思った」等が出た。学習を終えて「おばあさんの気持ち」まで深めていけなかった。どのように取り組むとよかったのか。

<参加者からの意見>
・おばあさんが意外な発言をして、「もう一人のアヤの分まで生きよう」とするところが心に残った。その部分と「忘れないでおこう」「生きていこう」とする部分をどのように繋げて子どもたちが考えを深めていけるとよいか。
・教師がこう読んだからと、教師の読みを押し付けないで取り組むためにはどうしたらよいか。また、この作品自体の価値はどうであるのか・・・。
・作品の価値はある・・・作者の朽木さんが一番書きたいところはどこか。「楠木アヤ」をまた指でなぞった等、クライマックスの部分を考えてみるとよい。また、挿絵とともに、綾さんの気持ちを追っていくと見えてくるのではないか。
・質の異なる要点を合わせて意味を見つけるトレーニングをするとよい。子ども自身が意味を見つけられるようになれば、教師の読みを押し付けることはなくなるだろう。
・軸は「犠牲になった人々の分も生きていこう」「アヤさんの分も生きていこう」「忘れないで生きていこう」「平和であってほしい」等が考えられる。
・教科書の最後の手引き「感想を持とう」と書かれているのが気になる。構造学習の考えとは異なる。まずは「君語り我聞く」だから、まずは「読んでみよう」でよいのではないか。
・「ちいちゃんのかげおくり」の校内授業研究があった。教科書の手引きを参考に授業を進めていたが、この手引きでは「うまくいかない」と授業者が言っていた。家族の絆や命の大切さに対する気づきが子どもたちから出ていたが、軸がないから深まりがなかった。やはり子どもたち自身が「軸」を持つことが大事である。
・教科書の最後の挿絵のページを見ながら、それまでの要点を繋げて意味発見ができるとよいと考えた。ここでの学びが次に繋がるとよい。「あのときに学習したこと」を想起し学級の文化が出来上がるだろう。