東京フォーラムを振り返って

令和4年度東京フォーラム


 東京フォーラムを4月29日(土)に開催した。今回の東京フォーラムでは、国語の演習にとどまるだけではなく、構造思考を生かした他教科の学習(社会科)を扱うことにした。子どもたちが思考トレーニングで身に付けた洞察力、分析統一力、 観点変換力を他教科でどのようにして生かしていくのか、教師はどのような手立てや意識をもって授業に臨むのかについて学べるようにした。

 そこで、今回の東京フォーラムでは、谷戸会長の基調講義に加え、参加者の単元計画の案を叩き台にし、議論し合う形をとった。


1、講演

 谷戸先生の講演「ひとり歩きを目指した社会科の学び方をどう指導するか」では、構造学習の原理から始まり、構造学習が目指す教育観を共通確認した後、社会科ではどのように指導するとよいかという話題に移った。

「社会科の軸は何か」という谷戸先生の問いに対して、それぞれの考えを話し合った。明確な答えを求めたのではなく、教師が全体の指導観をもち、指導構造が明確であることの重要性を伝えてくれた。

2、指導計画検討

 次に、東京の小池、川上が事前に考えた工業の指導計画について説明した。

小池案

川上案

違いはあるが、どちらも子供たちが導入で全体像を捉え、そして部分に入っていくところは変わらない。

どちらが正しい、どちらが違うという話ではなく、自分自身ならどのような指導構造をもつかを考えるきっかけにしてほしい。


3、まとめ

 今回は、社会科を例にして学んだが、構造理論で指導を行う際には、教師も子供たちも学習の全体を捉えて軸をとり、部分に入っていくことはどの教科においても同じである。

 具体的には、教師はその単元、もっと言うとその教科で何を身に付けたいのかを見通し、そのためにどのような指導が必要かという指導構造をもつ。そのためには学習指導要領を学びの地図とし、教科の特性をしっかりと理解しておく必要がある。

子供たちには、年度始めの教科オリエンテーションや単元の導入で、全体を捉えられる事象に出会わせたい。そして学習の見通しをもつことで、気付きや疑問が生まれ、能動的に学びたいという主体性が生まれる。

 例えば、谷戸先生の実践例のように「給食は、自分たちの口に入るまでにどれだけ多くの人の手によって運ばれてきて成立しているか」といった身近な話題を投げかける。考えてみるとこれまで考えたことのなかった観点に気付いたり、ここはどうなっているんだろうというような疑問が生まれたりする。それが能動的な学びの始まりとなる。


今回の学びが参加者の皆さんの実践に結びつくと幸いである。